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境界線上のホライゾン 8話 平行線の横槍者

僕らの正純が可愛かったので世界は平和ですね! ――最後は戦争になるけど。
今回はレイアウトが決まってたのが素晴らしい。
討論会で場所が殆ど動かないから必要なことだとは思いますが。
教皇総長の船、栄光丸を映したカットだけで画面が決まってるがわかりますね。
しかし重要なのは場所が動かなくても話の内容にあわせて変わっていくキャラクターの「線」としての映像表現ですね。
動きのない回?
馬鹿を言っちゃいけない、これでもかというほど動いていたのを見逃しちゃあいけないぜ!
さんはい!
それじゃ8話の感想ですよっと。

■意思の方向と直線、平行線

今回、トーリと正純の相対から正純と教皇総長の相対へという話の流れだったわけだが、それぞれの思惑、意思が立ち位置として映像に表現されていたのが特徴。
ポイントは「線」。
具体的に見ていくと、トーリと相対する正純の構図は前回までを踏襲した形。
教皇総長たちからすると、カメラで撮られていることによって正純が上手、武蔵側に見えているというのは面白い点。
そして、黒藻の獣の登場によって、正純の意思は「そちら」を向く。
つまり、トーリたちと同じ方向である。
ここから先、正純はトーリたちの代表として、トーリたちと同じ方を向いてしゃべることになる。
正純がカメラに向かって話すようになることで、校舎に写しされた表示枠に映る正純はトーリたちの後ろからトーリたちと同じ方向を向く。
皆の、トーリの支持者として。
彼らは橋の上で一直線となる。
皆が同じ方向を向いたことを示すように。

しかしそれに横槍を入れる者がいる。
教皇総長だ。
教皇総長の表示枠は橋の直線に対し平行に現れ、正純に対し平行線戦術を取る。
同時にそれは正純とカメラ、そして民衆の間に入り込むことによって、正純への支持を打ち消そうとする。
俯瞰とアオリによって強調される教皇総長と正純の高低差は両者の力の差を表すように。

だが、トーリは正純を絶対に支持すると言う。
同じ目線の高さで、同じ立ち位置で。
正純が欲したのは支持。
トーリが欲したのはホライゾンを助ける方法。
それぞれが欲したものを、「求められたから」ではなく自分がそうしたいから与えることになる。
6話から続いてきた、したいこと・してほしいことのテーマがトーリと正純の間で成り立ったのだ。
これはトーリと正純だけではなく、正純と黒藻の獣の間でも成り立っているのだが。

交渉は決裂し、教皇総長はガリレオを呼び出す。その位置は橋の直線を挟んで向かい側。
教皇総長の表示枠とガリレオを線で結ぶと橋の直線と交差した形となり、これは両者が平行線ではなく、互いに決裂したことは明示する。

このように、単に討論を映しただけではなく、それぞれの立場をいかに映像で表しているかにアニメである以上特徴が現れる。
また、長台詞をしゃべることになる声優の演技も聞きどころだ。
小説がアニメに翻訳される際に、小説にはなかった要素によって表現される部分も楽しむことができる。
原作では相対者以外は校舎で見守っていたが、アニメでは皆が橋の上にいる。
このような違いは、アニメにおける演出からくるものであり、単に原作とアニメとの差異というだけでなく、どのような意図でそのような違いが生まれているのか考えてみるのも面白い、と主張したい次第。


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境界線上のホライゾン 7話 相対場の望み

いい加減同じようなこと自明のことばかり言っててアレなのでアレな感じで手っ取り早く書きましょう。

■立ち位置だったり手を取ったりしたかったりしてほしかったり

今回象徴的だったのは2点、トーリ側と正純側の立ち位置の一貫性と、手を取ること。
具体的にはトーリ側の人間は上手に立ち、正純側の人間は下手側に立つことで立場の違いが表現され、また向かい合っている、相対しているということが表現されていた。
そして、手を取ることは1話から何度も繰り返し行われてきた動作である。
今回行われた相対戦では、それぞれの立場からしたいこと、してほしいことが語られた。
シロジロは金儲けがしたく、そのためには武蔵が飛び続ける必要があるので機関部に協力して欲しい。
直政(機関部)は職場を失いたくないが、聖連に歯向かって戦うことができるのか知りたい。

互いのしたいこと、してほしいことを提示し、その一致した先で手を取るというのがこの作品の根幹である。

同様に、ネイト(騎士)は市民を守りたいが、そのために市民に自分たちに勝って欲しいと願う。
鈴(市民は)生きるために、騎士に守ってほしいと願う。
互いに相反するような願いを持つが、ネイトは鈴の願いの前に反射的な行動をとってしまう。
ネイトの真に望むこと、感情がそうすることを望んでいたからだ。
変わらず騎士として民を守る。
それがネイトの選択であり、押し付けではなく、また鈴が望んだからでもない、自分が望んだ行く先である。

感情が望む行き先を見出す相対。

さて、では今トーリは何を望み、正純に何をして欲しいと考えているのだろうか。
正純は本当は何を望み、そしてトーリに何を望むのだろうか。

彼らは手を取り合うことができるのか。
その結果がこの物語を牽引していくはずだ。



で、まああれですよ。
ネイトと鈴のキラキラ描写。
あれは一体なんなのかなー、と思ったら原作者がpixivで答え出してましたね。
『ベルサンユのばら!』
つまりどういうことかって?
アニメだと簡略化されてますが、原作だとあのシーンは騎士側が市民に負けることで市民革命の歴史再現とし、それによって武蔵を降ろされる市民が帰化した先で市民革命の中心となることになり、それによって市民の安全を確保しようとしたのです。
この時代極東では市民革命は行われていないので聖譜記述に対する違反行為であるし、行われたら現在の中央集権制である教導院のあり方まで変わってしまう大胆な一手なのですがそれは置いといて。
そういったアニメになる際に省略された事項を、ベルサイユのばらというフランス革命を連想させる描写1カットだけで表現してみせたことに僕は心底感服するし、そのことに気づけなかった時点でこの描写には諸手を上げて賛成するしかないのです!
やられた!

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境界線上のホライゾン 6話 私がして欲しいこと・したいこと

ベルさんとシロジロ無双第一幕。
そんな感じの第6話。

■失われたものを取り戻しに――上手と下手

なんだか最近こんなことばっかり言ってる気がするけど、ここはスルーしつつ。
今回、基本的に上手(右側)が優位に描かれていた。
それはアバンのさんと宗茂の構図や、教室の教壇が上手側にあり、司会となるハイディやシロジロがそこに立つこと、蜻蛉切り返還の際の、三河と西班牙の位置関係などに現れている。
そして、それは最終的にはトーリを先頭として上手へ向かっていく梅組という構図に見えてくる。
もちろん上手側にいるのは西班牙や伊太利亜であるが、その目的はなんなのか。

ホライゾンの奪回である。

鈴の回想での上手の先、階段の先で待っていたホライゾン。
しかし欠けてしまったホライゾン。
彼女を取り返すために、失ったものを取り戻すために、彼らは進むことを決めた。
今回の一番初めと一番最後、両方に登場したホライゾンが、特にラストにおいて下手側を向いていたのは、梅組の先、立ち塞がる西班牙と伊太利亜の先に彼女が待っているとういうことを示しているのである。

同様に、失ったものをを取り戻すと宣言するインノケンティウスが酒井に対して下手側へ回り込んだのは、彼もまたこの時梅組と同じ立場にあることを表しているのだろう。
まったくやんちゃな元少年である。

■私がして欲しいこと、したいこと

今回のサブタイトル、告白場の代弁者。
これは鈴の告白を浅間が代弁したということであり、また、皆の思いであるホライゾンを助けてという思いを鈴が代弁したということでもある。
そして重要なのは、鈴の告白に対してトーリが「それは自分がしたいことなのだ」と言ったこと。
してほしいこととしたいことが一致した先へ向かっていく彼ら。
何がしたくて、そのために何がして欲しいのか。
これまで自分から胸を揉んでいたトーリと、今回手を取り揉ませた鈴はその象徴でもある。
手が届き、互いの思いは一致したのだと。
これこそがこの物語の中核である。
ミクロからマクロまで。
思考の先に。
トーリは告白がしたくて、そのために何をして欲しいのか。
皆はホライゾンを取り戻したくて、そのために何が必要なのか。
この国はどうしたくて、どうしてもらいたいのか。

その先にある、相対者との境界線を目指しこの物語は進んでいくのだろう。



そんな感じで7話最速放送に間に合ったー!
でまあ上記にように位置関係に物語の意味も込められてるわけなんだけど、ガリレオの術は相手と自分が相対できなくするという点で、このクールの適役に相応しいのだなあ、と思ったり。

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境界線上のホライゾン 5話 視線上の相対者

よっしゃ続けていくぞ!
ドーン!
5話の感想!

■視線上の相対者

今回最も目についた演出といえば、瞳や刃に人物が写り込んでいたこと。
ではそれに一体どんな意味があったのか。
それは、相対すること。
向かい合わなくては瞳に映ることはできず、それは蜻蛉切りでも同じである。
鹿角の瞳、蜻蛉切り、エル・アゾゥルの目、鹿角の宝石。
それらに映るのは、これまで相対した相手である。(さんと蜻蛉切りは、まあおいおい)
この回において誰と誰が相対することができ、そして誰と誰が相対することが出来なかったのか。
誰の瞳に映ることが叶わなかったのか。

トーリとホライゾンである。

今回叶わなかった相対を果たすこと。
同じ高さの地面に立つこと。
これこそが、これからの話の軸となることが示されているのである。

■これまでのまとめ

ということで一つ。
これまでブログで触れたことを。
まず、相対する、ということが1話と2話で。
これは上で述べた通りである。
3話では手をさしのべることにスポットが当てられ、今回トーリの伸ばした手はホライゾンに届かなかった。
それは正純がセリフにすることでより強調されていた。
3話でのもう一つのポイントである怪異・公主隠しに関しては作品全体を通しての謎となっているので、原作も終わってみなければわからないと予測できるのでとりあえず置いておく。
4話では自分で考えて決めるということが提示され、それは今回、松平・元信のセリフに集約されている。
考えることは楽しい。
考えることを放棄したものは、恐怖から目を背けて死ぬ人間だと。
だから、考えろ。

これらは皆、これからの展開の軸でもあり、これらに注目していけば本筋から離れることがないだろうということは、前回のエントリで触れた通りである。

どうすればいいのか、どうしたいのか、どうされたいのか考え、何と相対し、何に手を伸ばすのか。

どういった結末に至るのか、見届けたいし、見届けて欲しいと思うよ。

「一年前とどれくらい変わったのかなあ……」(本多・正純)
「この十年、一体、何が変わったっていうんだろうねえ」(酒井・忠次)

きっと、何もかもが変わり、変えていこうとするのだろうから。

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境界線上のホライゾン 4話 思考の先の選択とか

まさかのマザーボード大破で2週間近くブログ触れないという憂き目にあった今日この頃、いかがお過ごしでしょうか!
はい、そんな訳で4話感想、追いつきたいし軽めにGO!

■考えて選べよ自分の先は

今回は本多・二代のモノローグで開始。
ということは二代の相対するものこそが今回のポイントとなるわけだが、これは当然父であり、父に言われた「自分で考えて決めろ」ということ。

で、今回こういう方向性で語ることあんまり無いので(アクションと進行する自体のカタルシスが大きい話なので)ちょっと別の話をすると、こういうテーマ的なもの(これまでブログで触れてきたもの)の情報整理がとてもうまいなあ、と。
手を差し伸べることなどは、原作よりも映像化されることでよりわかりやすくなっているし、その取捨選択もしっかりしていて、アニメを見ていく上で注目すべきことの提示もわかりやすい。
地の文やセリフで削られている部分が、映像になることやモノローグを使ったザッピング構成で補完・補強されている。
これまでに提示されたテーマにこれから収束されていくことが容易に予想できて、終わりへ向けて失踪していくことは間違い無いだろうと安心できる。
僕は川上稔作品において最も素晴らしいところは、読んでいるときに感じるラストへの疾走感、加速であり、読了後の、走り終わったあと野原に倒れこんだかのような心地よい疲労感だと思っていて、アニメにおいてそれをどのように再現するかが気になるポイントだった。
それが、序盤でのザッピングによる情報提示と、終盤に向けてそれを軸に収束していく構成を取ったことは、手放しで評価することができると思っている。
特に今回(と次回)見られたアクションによって、作品終盤のアクションも不安視することはなくなったし、あとは論戦をどのように見せてくれるかが気になるとこで、今後かなり安心して見られるな、と。


でまあ、鹿角さん素晴らしかったですねえ。
鹿角さんだけでなく、武神や通神のやり取り、実に心をくすぐるポイントを抑えていて、これで燃えないわけないぜ! って感じで。
火花のエフェクトとかとてもかっこいい。

しかし、夜間の市街地での武神戦は実に絵になっていることが実感できたので、是非に終わりのクロニクルも映像化して欲しいですねえ。
まあ艦隊戦でも素晴らしい物を見せてもらえたら、2巻のアルマダの艦隊戦を早く! 早くぅ! ってなるのは目に見えてるんですが!

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はまじじゅん

Author:はまじじゅん
まとまったアニメの感想とか書ければいいなあとか。
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