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アイカツスターズ!における食事と紙の受け渡しと人間関係に関する考察

ちょっとリハビリに軽い記事書きます。
もう記事のタイトルまんまなんですけど、アイカツスターズ!では食事シーンで人間関係を表すことがとても多いです。
それだけならよくある話だし、単純に食事シーンが多いだけじゃねえの?って思われるかもしれませんが、ここにもう一つ、食事に関して飲食物のキャラ間の受け渡しも非常に多いことが特徴として挙げられます。
結論から言うと、この飲食物の受け渡しでもそのキャラ同士の関係性と、またその変化が描かれているのです。
この受け渡し、実は飲食物だけでなく他の物に形を変えて変奏して描かれることもあるのですが、これもそれだけならよくありそうな話に思えるかもしれません。
が、さらに一つの特徴として、紙というモチーフが好んで使われています。
これらが一体どんな意味を持って描かれているのか、まずは列挙していくので追って見ていただくのがいいかと思います。

まず3話、組決めオーディションで迷うゆめにローラが励ましとしてデザートをあげます。
これは二人のライバル関係として後々まで重要になります。
4話、ゆめたちが食べた差し入れが、ひめと夜空によるものだと明かされます。
アイドルはスタッフと一緒にステージを作り上げるというテーマをわかりやすく補強しています。
5話ではS4という特別な関係性が、星々の集いというお茶会で表現されています。
6話はこのモチーフで1話丸ごと作られたような話ですね。
ROCKロックガールズという劇中劇のあらすじが、ビラを配るけれど誰にも受け取ってもらえない主人公と、最初は断るけれど思いを受け取ってバンドを結成する仲間たち。
そしてラストは来ないと思っていた仲間が来て、主人公から受け取った思いのお返しにマイクを返すというものでした。
先ほど言った紙という形式がこのビラですね。
他にもチケットという形になったり、ドレスカードだったり、2話のローラからゆめへの楽譜なんかもそうだと言えるでしょう。
今後もいろんな紙になって出てきますが、アイドル、あるいはアイカツと紙との親和性が高いという判断があったのかと思います。
6話の話を続けますと、ガリ勉について勉強するゆめは小春から飴を貰い、ガリ勉を「友達がいないから飴を貰えない」と表現します。
これを踏まえると、ROCKロックガールズとは飴=ビラ=マイクをを渡し合える、ガリ勉が友情を結んだ話なのであると理解できます。
また、撮影中にゆめがすばるから水を貰いますが、さらにゆめからこの水を受け取ることをあこは拒否します。
ゆめとあこはまだそういう関係を結べていないということですね。
しかし、ラストシーンであこが落としかけた学食をゆめが受け取り、あこに返すというシークエンスがあり、二人が関係を結ぶ余地があるということを示唆します。
というわけで6話はかなり濃かったんですが、せっかくですので7話以降も見てみましょう。
7話ではローラの自室での酢昆布ですね、これがローラの個性につながっているし、ラストの酢昆布アイスでもあります。
8話ではこはるが真昼に飴をあげて関係を結びます。飴強し。
9話はゆめとローラが別々の場所でたい焼きを食べて当たりを引きます。
別に一緒に食べてもよかったのに別々にしたということが、やはり二人のライバル関係を描くうえで大事だったのでしょう。
10話、ゆめのステージのチケットをローラと小春が手売りします。
チケットという形をとることで、アイドルとファンという関係性にも踏み込めるのがこの紙モチーフの強さですね。
11話は激辛カレーを食うひめ先輩!
はい、12話はごほうびタイムでラムネをふるまうツバサ。
ゆりちゃん先輩の言うツバサ先輩の慕われる理由に使われていますね。
13話は小春デレラが可愛がられすぎたりゆず部屋でなんか食ったり。
段々雑に語りすぎてるの次から丁寧に行くと、14話はまず真昼がゆめから短冊を受け取るのを拒否したところから始まり、最後は真昼から短冊を受け取るという美しい構成になっていますね。
その途中でも朝陽が夜空にカップケーキを差し入れたり、ゆめから真昼にケーキを送ったり、そして、真昼がドレスのコンテストにデザイン画(当然紙)を送り、それを受け取った夜空がラストで真昼の短冊を見たりと、関係性が盛りだくさんでした。
15話も、話の中心にあったのは、香住姉妹のお絵描きコーデであり、姉妹で受け渡していたものを、置いて行かれたと思った真昼が捨て、しかし夜空はそれを拾っており……という形で二人は仲直りしました。
16話ではラストの学食無料についてのやり取りを覚えておきたい。
17話はそのものバラエティで料理をするという話でしたね。
その料理であこがすばるしか見ていないことがありありと見て取れたけれど、それじゃダメだろうと。
結果、あこは6話で受け取れなかったすばるの水を受け取れたし、一緒に料理した小春とは仲良くなれましたね。遠投回収。
18話はビラを配ってイベントの宣伝するゆりちゃん先輩、過去にも同じようなことやってツバサ先輩と仲良くなってたゆりちゃん先輩……ツバゆり……。
というのは置いといても、それらを見て聞いて、自分にしかできないアイカツとして、ゆめがハガキを出したり、自分でポスター作ったりと道が拓けたわけです。
19話では夏バテ気味で小食の小春たちに対して元気なゆずが、高原でおいしいものを食べさせます。
しかしポイントはこの時ゆずが食べてるところは映さないんですね、食べさせるだけ。
その後、ゆずはリリィにクレープをプレゼントし、そして自分も一緒に食べることで、ゆずとリリィの特別な関係が感じられます。
あとミッキー先輩からドレス受け取ったりもしたよ。
20話、撮影現場でのS4による手作りご飯の差し入れは4話の復習ですね。
余談ですが4話ではミーハーでゆめのリハーサルやらを覗こうとしていたゆめが、20話では勉強のために撮影現場を覗こうと言い出したり、明確に20話では4話からの成長を描いています。
21話はゆめとローラのライバル関係において重要な話でしたが、ポイントはローラがゆめにポテトを食べさせてあげていたことですんね。
確かにこれまでローラはゆめを自分のライバルに相応しい存在であれと、応援しているようなところがあって、つまり3話のデザートですね。
ですが、21話と同じくゆめとローラの直接対決であった9話では別々の場所でそれぞれたい焼きを食べていたわけで。
で、22話はひめからのお茶とマッサージ(この辺は11話からですね)があったりひめのステージのチケットを受け取ったりしたわけですが、ラストでローラは自分でゆめのCDを買っていたんですよね、それもゆめからの抱き着き回避した後の発覚で。
この辺りに二人のライバル関係の描き方の機微を勝手に感じ取ったりしているわけですが、そろそろ列挙に疲れてきた。
23話では最初のゆずからリリィへの自分のステージのチケットのプレゼントと、ラストのウィンナコーヒーですね。

こんな感じで描写を列挙してきましたが、それぞれの意味合いについてはかなり雑に書きました。
これらの意味について述べるのはこの記事の本旨ではないので、つまり皆さんが勝手に考えればいい話です。
ただ、アイカツスターズ!という作品はこういう描写の積み方をしていて、人間関係の表現として、追って見てみると面白いと思います、ということです。
僕がアイカツスターズ!のスタッフを信頼している一つの部分でもありますよという表明でもあります。
まあそんな感じで、事実の列挙なら楽だしリハビリにもいいだろうと書き始めてみたら思ったより疲れたわけですが、ちょうど2クールが終わる辺りで、ざっとさらうにはちょうどいいタイミングだった気もします。
この調子でもっと突っ込んだ記事書きたいですね……だってアイカツスターズ!面白いし。
劇場版もこの視点で見てみると納得できる部分があるんじゃないかな、と思ったり。
単に食事シーン、食堂でのシーンはアイカツ!の頃から多かったんですが、まあいろいろやってるんだなということで。
なんかすげえどんくさい記事になってしまいましたが読んでくださった方はありがとうございました。
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テーマ : アイカツ!
ジャンル : アニメ・コミック

アイカツスターズ!1話感想 ゆめの世界へのお話

いろいろありますがアイカツスターズ!の筐体が面白そうで楽しみな今日この頃、久しぶりにブログを更新してみんとす。
本来ならアイカツ!のソウカツをするべきなんじゃないかと思いつつも、それをするには心の準備が数か月必要そうなので、今回は放送開始しましたアイカツスターズ!1話の感想でも書こうかという次第。

僕がこの1話で感じたの練りこまれた美しさと怖さで、とてもよくできてるなと。
かなり情報量を詰め込んだ1話だったんですが、それでも見やすいのは話の最初と最後、2つのライブシーンを軸に構成しているからですね。
で、この2つのライブを対比する構成がとても美しかった。
ちょっと遠回りして話すと、最初のS4のライブを見に行くのに主人公の虹野ゆめは電車を利用していて、そこから話が始まっているんですけど、この電車(からの道程)というのが、最後のゆめ自身のライブまでの道程と対応した作りになっているんです。
つまり、電車とフィッティングルームが対応している。
周りの光景が光として後ろに流れていくフィッティングルームが電車と、学生証とアイカツカードをかざし光の中へと飛び込むのがICカードをタッチする改札と、そしてドレスを身にまとうため駆け上がる階段が駅の階段と、それぞれ完全に対応しているんです。
そして、その先にあるのはどちらもステージ。
しかし、最初はS4のライブで、それを見るゆめいう構図だったのが、最後ではゆめのステージを見るS4という形に逆転している。
この対比の構図が1話の軸となっています。
客席から「S4になりたい」と叫んだゆめが、今度は自らのステージからS4へと輝きを放ったわけです。

電車はそこ以外でも、四ツ星学園を映す前に路面電車的なものを見せたりしていて、意識的に使ってますよね。
電車の先にはステージやアイドル学校などの異世界があるんです。
やっぱり電車というのはここではない場所へと到達するドラマチックで運命的なものだと思ったりします。
改札を抜けると、そこは輝く世界であった、的な。
フィッティングルームはアイカツシリーズにおいて重要なギミックなんですけど、そこを中心に映像を作っていくのはとても美しいと思うので大好きです。

そんなわけで以上が1話の軸なんですけど、じゃあそこをもとに何を描いていたかというと、四ツ星学園という場所におけるS4の立ち位置と、ゆめの特別性だったのかなと。
それがどうやって描かれていたというと、最初に言った怖さに繋がってくるんですが、ええ、怖いです。
何が怖いって四ツ星学園の校舎の正面には花鳥風月の紋章っていうかステンドグラス的なのがあるんだけど、1話で校舎見えるカットは全てゆめちゃんの目指す花の歌組だけが見えないように隠されてる んですね。

スクリーンショット (237)
これが校舎
 
スクリーンショット (234)
歌組にだけ被せる

スクリーンショット (235)
左右対称でいいのにわざわざカメラがちょっと右に寄ってる

スクリーンショット (236)
2話でもバンクで使われてたカット


これが何と関連してるかというと、学園案内アプリでS4のうちでひめさんだけ出番がなかったこと。
1話ではS4が目標であると同時にみんなの案内役であることが示されてるんです。
S4はみんなの憧れであり、リムジン的なお車で送迎される、新入生とはまったく階級の違う存在であることが描かれているんですが、同時に入学式でかなり積極的に新入生を指導して導くということも見せています。
目標であると同時に導き手なんですね。親切です。
だから学園案内アプリでもS4が登場するんですが、しかし校舎担当の白鳥ひめには出番がなかった。
つまり、ゆめはひめの案内を受けてないし、さらに見送りで先周りしようとして突拍子のない高い所に行ってしまう。
これがゆめの特別性です。
ひめを憧れとしているのに、ひめの後追いではなく、新入生とは思えない特別なステージをやってのけてしまう。
そしてその特別性はゆめ本人にも認識できないというのが次回以降への引きというか、なかなか恐ろしいところですよね。
フィッティングルームのシーンも今までと比べるとその先の未知感が強い印象もあって、ゆめちゃんが何かやばいものと接続しちゃったんじゃないかって感じもあって。
ともかくS4のいるこの四ツ星学園で、虹野ゆめという女の子が特別なのだということがステージだけでなく現れていたんですね。

そんな感じでこの1話は設定説明とかあるのにかなり見せたいものを詰め込んで、それを綺麗に構成できてるなって感想でした。
以下雑感。
やっぱりというか佐藤監督は画面の演出力高いですね。
木村監督はポージングの人みたいなとこがあって、そのキャラとして適切なポージングと芝居ができていれば、あとは素直に見せて行くだけで充分牽引できるみたいな画面への信頼を感じていたんですけど、やっぱり見せ方は変わるなと。
柿原さんの脚本は、今までの仕事でも感じてましたけど上記みたいな積み方をする人だよなって印象あります。
アイカツ無印での仕事もだいたいこんな感じで読めます。
特別性で言うと、ローラも特別な子であるんですよね。遅刻っていうインパクトもあるんですが、それはつまり入学式に出席していないということで、S4の訓示を彼女は聴いてないんです。
先生については1話は放任が強調されてますよね。
これはS4が導き手であるということが霞まないようにしてるんじゃないかと。
あとアンナ先生は大人大人させてなくて、ちょっと生徒とも喧嘩できそうなくらいに描いてます。
この立ち位置で男だと怖いキャラになっちゃうんでその辺も計算して彼女は作られてるかなとか。
キリがないんで最後にCGの話をすると、モーションキャプチャーの後の手付での動きの整備がまだ不慣れな感じですね。
モデリングはそもそもやぐちさんのデザインがCGとの相性がいいってのがあったんで判断が難しいんですけど。
ひめさんのスペシャルアピールのとこはかなり上手かったし人によって差があるのか得意不得意があるのかはわかりませんが、おおむね無駄な動きが多いです。
そしてそのわりに芝居が少ない。表情も含めて。
後ろの噴水とかオーラとかはさすがって感じで、サンライズDIDスタジオはマンパワーのあるとこだと思うので、これはしばらくしたらちゃんとうまく合わせてくるだろうと思います。
そこは威信がかかってますからね。
なんか書き忘れたこともある気がしますが、とりあえずこんなとこで、早めに2話の感想書こうと思います。

テーマ : アイカツ!
ジャンル : アニメ・コミック

劇場版ラブライブ!に対する疑問 映画がドームじゃない不誠実さについて

以下ネタバレ収容

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デレマス 6話と7話で本田と渋谷のドラマに質の差ありすぎよねって話

6話の話からですけど、本田の問題って実は大した話じゃないんですよね。
あのステージが失敗だったと思ってるのは本田だけで、Pも他のアイドルも観客もあれは成功だったと思っていて。
ってことは完全に本人の中だけの勘違いであって、それを正せばいいだけですから。
これが「こんな華やかじゃない下積みもしなくちゃいけないならアイドルなんてやりたくない!」って主張を本田がするのならば別ですけど、そうじゃないことはわかりきってます。
本田の一連の流れを調子に乗って同人誌を刷りまくって売れ残った人って例えをなんかよく見かけましたけど、これっててんで的外れなわけです。
同人で例えるなら、分相応のイベントに出て、分相応の冊数を頒布したけれど、本田はイベントはもっと大きなもので、大量に頒布されるものだと思い込んでいた。
まあこんな勘違い、ドラマになるわけありません。
やるべきことは見えていて、アイドルとしての心構え、アイドルとファンとの関係、本田から全員への謝罪、行うべきなのはこの程度でしょう。
リーダーの責任感に悩むにしても、リーダー決める話もなかった上に、やはりリーダーとして失点があったわけではないわけで。
少なくとも話数を跨いでのヒキにはならないような話です。
だから、6話の本当のヒキはそこではなく、本田をきっかけにした渋谷とPの関係性がヒキになってるんです。
だからドラマにならない本田のドラマが、本当のドラマを動かすための歯車にしかなってないわけで、なかなかむごいことをするなあと思いました。
とはいえ本田の話をきちんとドラマにすることもできて、それは本田とPとの関係性を描くことです。
逆にさっき言ったように本田のアイドル観や、本田とファンとの関係を描くことで話を作るのは難しい。
なぜならこの問題でアイドル観やアイドル論を語るには問題があまりにもちんけであるし、アイドルとファンとの関係もこれまでほとんど描いてこなかったので、深入りした話は期待できないからです。
であれば本田とPの関係に焦点を当てればいい。
6話の流れを追ってみると、本田のパフォーマンスとそれへのレスポンスが軸になっていることがわかります。
レッスンで本田は良い動きで褒められますし、リーダーとして他の二人を引っ張り、それが上手くいってる様が描かれます。
そもそもデビューが決まったのもこれまでのパフォーマンスへのレスポンスとしてです。
しかし、デビューのステージで、本田の期待していただけのレスポンスがファンからなかったわけです。
それを、Pに何故かと問い質し、帰ってきた答えに本田は失望します。
ここが問題なんです。
本田はファンとPのレスポンス、どちらにショックを受けたのか。
あるいは両方にショックを受けたのか。
本田とPとの関係性に重点を置くなら、観客の少ないステージというものをショッキングな形で置いたのは、段取りとしてよくありません。
おかげで本田とファンとの関係に寄せられてしまう。
そしてそれは前述の通り矮小な問題なわけです。
そして、問題が矮小故にそれに対処できないPも無能に見えてしまいます。
そこにトラウマがあるのはわかりますが、さすがにこのレベルの問題に対処できないのはいくらなんでも、と。
結局誰かが「アイドルやめる!」と言ってPのトラウマ抉って渋谷に不信感持たせられればその過程はなんでもいいんだろう、と。
そんな流れで7話に入り、Pが一念発起して本田と対話するわけですが。
そこに至る流れを見れば、この話が結局Pがアイドルに向き合えるかどうか、Pとアイドルの関係性が話の焦点なのだとわかります。
わかりやすいくらいドアの描写が出てきますからね、引きこもっていたのはPもだったんだと。
そんなPと本田の関係ですが、まあやはり大した話は出てきません。
ファンの笑顔もありきたりな話です。
ありきたりであることの何が問題なのかというと、この程度のことならPじゃなくても言えてしまうんですね。
家族でも、友達でも、仲間でも、先輩アイドルでも言えてしまうことです。
エンタメとして、仕事として、普遍的でもあるので、他業種を見るなりして自分で気づくこともできるでしょう。
そこには、Pでしか言えない言葉はなく、だからPとアイドルの関係の話としてとても弱いのです。
ファンと本田の関係の話としても、Pと本田の関係の話としても、不出来であると思います。
逆に、6話の本当のヒキと言った渋谷とPの関係は、よくできています。
なぜなら、シンデレラプロジェクトの中で、渋谷だけは唯一、明確にオーディションで合格したアイドルではないからです。
それはつまり、渋谷だけはシンデレラプロジェクトを通してアイドルを見ていたのではなく、スカウトしてきたPを通してアイドルを見ていたということです。
5話の感想風に言うなら、渋谷だけはPを見てアイドルを選んだ。
Pを選んだということです。
ですから、Pと渋谷の問答は、他のアイドルとは違う、渋谷だけの、渋谷固有の物語となるのです。
極端なことを言えば、他のメンバーはPが信用できないのなら、他のPに挿げ替えてくれと言ってしまえます。
しかし、渋谷だけはあのPでないとアイドルを続けることすら危うい。
それが、渋谷とPの話の強度となっているのです。
よくできている。

もうちょっと他の話にも突っ込むと、NG以外のメンバーは、だいたいみんな全員が共有している思いの代弁しかしないんですね。
年少組は素直に欲望を吐露しますが、これは皆が思ってることだったりします。
前川は欲望的な面を、多田は悲観的な側面を代弁することが多い。
そうやって全員の思いの共有を深めて、みな思ってることは同じであるとし、ひとまとまりとして描写するんですね。
だから、全員が共有する思いの代弁が難しいキャラは、シリアスな場面ではほとんど喋れなくなります。
双葉とか顕著。
で、それはまあこの大人数を動かすのに便利だし上手いと思いますけど、むかつきますよね。
Pへの不信感を共有し、それを一番の持ち主である本田と渋谷が解消したことにより、他のメンバーの不信も綺麗に解消されていて、それは確かに上手い手法だとは思います。
でもさっき言いましたが渋谷の不信は渋谷の固有のドラマであって、お前らなに共有して解消されましたみたいな顔してんだよと。
プロジェクトみんなの思いは一緒みたいなのを、この子らの関係性の変化を描いてないのに最初からやってるのは、とてつもなく好みの問題ですが大嫌いです。
そもそもなんのためにいるんだお前らって気になります。
えー、まあ、そんなこんなも7話まででようやく一区切りで、次回からはPとメンバーとのアプローチを変えられそうなので、こっからは楽しみです、本当に。
こんなに数が多いから一区切りに7話もかかってんじゃねえかとか思いますけど、まあそれはそれですしね。

※タイトルが悪くて勘違いされそうですけど、二人のドラマに質の差があること自体が問題なのではありません。
まず、それ以前の問題として、本田はドラマとして成立していない。
だから、8話以降で本田が何かしらいいことやっても、これがきっかけで成長したと言えません。
アイドルとPとの関係という点で、NGの中で本田だけ固有のものがないというのは、今後問題があるかもしれません。
そして、差というか違いがあるのに、みんな仲間みたいなノリで問題と解決を共有できてる風に描いてるのは、問題あるとは思いませんが気に入りません。
そういう話です。

テーマ : アイドルマスター
ジャンル : アニメ・コミック

誰かに選ばれること デレマス5話までの話とあと不満とか

デレマスの話ですよ。略称これで合ってるの?
5話は「誰かに選ばれること」と、そして同時に「誰かに選ばれないこと」を描いていました。
ユニットデビューの決まった島村、渋谷、本田と、アナスタシア、新田は誰かに選ばれた人間であり、他の面々逆に選ばれなかった人間です。
渋谷はプロデューサーになぜ自分たちが聞きますが、「総合的に判断して」という答えに納得しきれません。
渋谷「みくたちじゃなくて、私たちを選んだのはなんで?」
新田はデビューのビジョンのない自分が選ばれたことに不安を感じます。
新田「私たちにはプロデューサーさんが用意してくれた素敵な曲と、衣装しかないでしょう? まだステージに立ったこと、一度もないし」
新田「しっかりしなきゃね。選ばれたんだから、頑張らなきゃ」

逆に、前川は、なぜ彼女たちが選ばれたのか、そしてなぜ自分が選ばれなかったのか、という疑問を突き付けます。

この「誰かに選ばれる」っていうのは作品のテーマだと思うんですね。
1話で島村渋谷本田はプロデューサーに選ばれてアイドルになった。
2話で3人は美嘉に選ばれ、バックダンサーになることに。
3話でその姿を見たお偉いさんに(おそらく)選ばれ、ユニットデビューが決定。
アイドルというのは、こうして誰かに選ばれ続けるということなのではないかと思うのです。
王子に選ばれるシンデレラのように、誰かに選ばれる存在。
この作品は、アイドルをそのようにものとしてこれまで描いているのではないでしょうか。

ですが、アイドルというのはただ選ばれるだけの存在ではありません。
同時に、自分でも選んでいくのだということも描かれます。
顕著なのは美嘉です。
彼女は自分で3人をバックダンサーに選びました。
既に活躍しているアイドルの先輩として、そうした姿も描かれているのです。
3人も少しずつですが自分たちで選ぶということを行っていきます。
ステージの前のフライドチキンという掛け声を選び、PR動画をどう撮るかを選ぶ。
それはとても拙いものでしたが。
そんな3人が5話で選ぶことになったのが、自分たちのユニット名です。
ホワイトボード一面の案を書き出しますが、選ぶ事が出来ません。
対し、前川たちは自分たちのデビュー案を考え選びますが、それはプロデューサーに採用されません。
単に自分で選ぶということが偉いというわけではないんですね。
アイドルとして、自分で選んだことを誰かに選んでもらわなければならないのです。

そしてそれはまた、最初に彼女たちを選んだ者の物語でもあるように思います。
それがプロデューサーです。
プロデューサーは渋谷を選びましたが、だからといって彼女が素直にアイドルの道を選んでくれるわけではありません。
自分の頭越しのような形で美嘉と部長が彼女たちを選び、プロデューサーはそのフォローをすることになります。
これは彼女たちを最初に選んだ者の責任であり、その責任をはっきりと描いたのがこの5話です。
企画の決まっていく物事に対して対処を行っていますが、しかしそれ故はっきりとアイドル達の気持ちに応えられないんですね。
千川「順調ですか?」
プロデューサー「決め事は、概ね」
千川「あの娘達は」
プロデューサー「え? はい、頑張っています」
千川「プロデューサーさんにかかってますからね」

決め事は決まっていきますが、プロデューサーがぼかして答えるしかない部分が問題になっているんです。
「なぜ彼女が選ばれ、またなぜ他の彼女が選ばれないのか」、です。
実際その理由は部長と千川との会話で明示されているんですが、それを直接アイドルに伝えることはできないんですね。
まあ理由はいろいろあるでしょうけど。
で、立てこもった前川にプロデューサーが言ったのって、「あなたも選ばれている」ってことなんですね。
「不安にさせてしまったが、あなたも僕が選ばれたメンバーであり、皆もそうであり、順番でしかない」、と。
そこから最後、島村渋谷本田の3人が、プロデューサーの仮に置いたユニット名を自分たちで「選ぶ」。
というのが5話の顛末だったわけです。
何もかも用意してもらっているデビュー組だけど、自分たちで選んだものもある。
そんな一歩がこの5話です。



……以下不満。
でまあそんな話だったんだけど、そんなわけで5話ってかなり作品テーマに踏み込んでるんですよね、たぶん。
で、まだ序盤なんだからそこにちゃんとした答えを出す必要はないんですよ。そこってつまりなんで選ばれたのかとかそういう話です。
1話から彼女たちが選ばれた理由ってぼかされてるんですよ。
渋谷「そもそも私の何を見て、アイドルになれって言ってるわけ?」
プロデューサー「笑顔です」
渋谷「は!?」

5話でプロデューサーが前川に答えたのは、「すでにあなたたちは選ばれている」、ということであって、「なんで選ばれたのか」ということへの答えではないわけですね。
それはさっき言ったように作品通してのテーマへの答えであって、今答える必要のあることではないんです。
だから、答えを誤魔化してもいいし、暫定的な答えでも十分です。
ただ、それにしてはかなり大きくテーマに踏み込んでいるんです。
視聴者としてはどう答えを出すのか、あるいはかわすのか、という点に注目して見てしまうのです。
デビュー組は何故自分たちが選ばれたのか、という疑問を共有しているし、前川たちもなぜ選ばれなかったのかという疑問を共有している。
だから、前川の「自分と彼女は何が違うのか、なぜ自分は選ばれないのか」という問いはプロジェクト全員の思いの代弁だったわけです。
前川だけの思いなら、前川の不安を取り除いてやれば疑問に対する答えが不十分でも構わないんですが、今回は疑問の共有が強すぎる。
つまり、あの場でプロデューサーは前川だけじゃなく、全員の疑問に答える、あるいは誤魔化す必要があったんですよ。
それが「順番だから」では弱すぎると思ってしまう。
だって「じゃあその順番はどう決まったの?」ていう次の疑問がすぐに生まれてしまいますから。
これがデビュー第一弾がニュージェネレーションだけなら、その理由を察せられますが、ラブライカはそうではない。
ラブライカが誰かに選ばれる描写も弱い。
そして当のラブライカにも疑問の共有が行われてしまっている。
渋谷も自分が選ばれた理由を今回の中で直接ぶつけているため、そのまま納得してユニット名選びを晴れやかに行うことにも引っかかってしまう。
ただプロデューサーも自分の力が及ばないところで決まることがあるなんて言えないわけで。
じゃあまあどうすればいいかって、「あのプロデューサーが本気で謝罪した!」とかその行動自体に他のキャラにリアクション取らせて誤魔化しにかかればいいと思うんですけどね、本編通りでも。
論点をずらして落としどころを力技で作るにはやっぱり謝罪ですよねーそして土下座、切腹。
キャラのアクションとリアクションとして面白いだろうなーとかの思いもありますが。
第一に「あなたたちはすでに選ばれているという点で皆同列だ」という答えでデビューが遅い面々が納得できると思うかどうか。
第二に先にデビューが決まっている面々もその答えで「皆同列だ」と納得できると思うかどうか。
第三に作品のテーマに対する暫定的なその答えに対して視聴者として面白いと思えるか。
5話の内容はこれだけハードルを高くしてるんです、疑問の共有を強くすることと、テーマに踏み込むことで。
僕としてはかなり物足りませんでした。



まあそういうなんつうか構成的な話以外でも、立てこもりは4話で双葉がやったことの2度ネタで面白くないぞとか、前川のレッスン姿足りないぞとか、島村渋谷本田の関係って特に面白くないなあとか、そもそも本田がいる意義が感じられなくてその役回りは大体島村だけでできるんじゃね?とか、島村の笑顔が魅力的に描かれることがほとんどなくなってこの子の魅力ってなんだっけな感じや、例えば神崎の中二設定の内実がわかんなくてガワだけっぽくてよくわからないとか、まだアイドルじゃないとはいえ描かれてるのが美少女キャラの魅力でそれってアイドルとしての魅力なの?って疑問とか、その辺全部ひっくるめてキャラの関係性が漫才以外の面でまったく面白くないとか。
そういうテーマとか構成以外の部分の話が特に面白くないんですが、それはそれとしてこれからも期待してます。
いや、ほんとに。
プロフィール

はまじじゅん

Author:はまじじゅん
まとまったアニメの感想とか書ければいいなあとか。
コメント・TB大歓迎。
特にコメントは超お気軽にどうぞ。
TwitterID:hamaji_jun
http://twitter.com/#!/hamaji_jun

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